多焦点眼内レンズの特性
- 遠くも近くも(または中間距離も)見ることができる
- 眼鏡を使う頻度が大幅に減る(すべての場面で眼鏡が不要になるわけではなく、状況に応じて必要になる場合もある)
- コントラスト感度(映像の鮮明さ・微妙な濃淡)の低下
- 不快光視現象(ハロー・グレア・スターバースト)が出ることがある
- 見え方に慣れるまで多少時間がかかることがある
- 選定療養(レンズ代は自己負担)
白内障手術時に用いられる眼内レンズには、大きく「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の2つの種類があります。単焦点眼内レンズは1か所にピントが合い、多焦点眼内レンズでは複数か所にピントを合わせることができます。
単純に多焦点眼内レンズの方が単焦点眼内レンズより優れているというわけではなく、レンズの種類によって特性があり、メリット・デメリットがあります。






遠方・中間(70cm)・近方(35cm)の3つの距離にピントを合わせることができるため、日常生活に必要な幅広い距離をカバーできます。
ファインビジョンHPは「アポダイズド回折型」というレンズデザインを採用しています。
「アポダイズド回折型」とは、レンズの中心部分と周辺部分で異なる回折構造をもつレンズデザインです。
レンズ中心部分は円の内側から外側にかけて遠方に光エネルギーが振り分けられる回折構造となっており、周辺部分は遠方のみの屈折領域となっています。
これによって夜間瞳孔が大きくなると、光エネルギーの配分が遠方に多く振り分けられるため、夜間でも良好な視力を得ることができます。
アポダイズド回折型のため、暗所で瞳孔が大きくなると、光エネルギーが遠方に大きく振り分けられるため遠方は見えやすく、近くは・中間は見えにくくなります。
よって、暗所では手元の明るさを確保する必要があります。
回折型レンズであるため、ハロー・グレア・スターバーストといった異常光視症はある程度生じ、限界がありますが、ファインビジョンHPはアポダイズド型構造により、ハロー・グレアは大幅に軽減されています。
従来の多焦点眼内レンズは、焦点距離(光の振り分け先)が増えるにつれてエネルギーロスが増加し、コントラスト感度が低下しやすくなりますが、ファインビジョンHPはコントラスト感度の高さが特徴の1つです。
一般的な回折型2焦点眼内レンズは目に入った光を「遠方に41%」、「近方に41%」を振り分け、18%の光のエネルギーロスが発生しています。
しかしファインビジョンHPは「遠方に42%」、「中間に15%」、「近方に29%」を振り分けることができ、14%の光エネルギーロスに抑えられています、
これにより見え方の質も良好な多焦点眼内レンズとなっています。
遠方・中間(80cm)・近方(40cm)の3つの距離にピントを合わせることができるためバランスよく見え、比較的遠用視力が良好です。
ジェメトリックは、回折型設計を採用したレンズです。光学設計により焦点が連続的に広がるため、日常生活での違和感が少なく、特に遠方の見え方が良好なことが特徴です。
光学中心3.2mm径内に回折ゾーンを持ち、回折構造が他レンズより狭いため、周辺が単焦点構造をしています。また、非球面デザインの光学前面と、球面の光学後面により、不快光視現象(ハロー・グレア)の低減が期待できます。そのため、夜間の運転でも不快光視現象が起きにくいのが強みです。
従来の多焦点レンズと比較して、光エネルギーの損失が少なく、効率的に光を眼内に取り込むことができます。これによりコントラスト感度の低下を抑え、よりクリアな視界となります。
純国産で初めて開発された三焦点眼内レンズです。HOYA株式会社より2024年8月に日本初の多焦点眼内レンズとして発売になりました。
遠方・中間(80cm)・近方(40cm)の3つの距離にピントを合わせることができるためバランスよく見え、比較的中間・近方視力が良好です。
ジェメトリックプラスは、回折型設計を採用したレンズです。光の配分量を近方へリバランスしているため、日常生活で遠近両方のバランスが取りやすく、読書やスマホ操作、手芸など近方作業の見え方が快適なことが特徴です。
光学中心3.2mm径内に回折ゾーンを持つ構造をしています。また、非球面デザインの光学前面と、球面の光学後面により、不快光視現象(ハロー・グレア)の低減が期待できます。
従来の多焦点レンズと比較して、光エネルギーの損失が少なく、効率的に光を眼内に取り込むことができます。これによりコントラスト感度の低下を抑え、よりクリアな視界となります。
日本のHOYA株式会社より2025年4月に三焦点眼内レンズとして発売になりました。
遠方から中間、近見(50㎝程度)までがスムーズに連続して見える多焦点眼内レンズです。光を分割せず、ピントが合う範囲を広げるため、焦点の切り替わりや違和感が少なく自然な見え方ができます。夜間運転、パソコン作業が多い人に適しています。
角膜は平均+0.27µmの球面収差を持っています。ピュアシーは-0.27µmの球面収差を付加することでトータルの球面収差をほぼゼロにし、より鮮明な視界を得ることができます。
ピュアシーは光を複雑に分ける構造ではなく、自然な屈折光学設計でピントの幅を広げているため、昼夜を問わずコントラスト感度が高く、ハロー・グレア・スターバーストが少ないことが特徴です。
±0.5D以内の度数ずれに対する耐性があるため、良好な遠方裸眼視力が得やすい眼内レンズです。
手元30㎝前後の非常に近い距離(スマホ・読書・裁縫など)では眼鏡が必要になります。
※当院で採用している多焦点眼内レンズは選定療養の対象です
選定療養とは、患者さんご自身が選択して受ける追加的な医療サービスで、その分の費用は全額自己負担となります。令和2年4月より、術後の眼鏡装用率の軽減を目的とした多焦点眼内レンズを使用する白内障手術は、厚生労働省が定める選定療養の対象となりました。
※当院でも2026年3月より多焦点眼内レンズの白内障手術を行う医療機関として届出をしています。
白内障手術自体は保険適応となり、多焦点眼内レンズを選択することでかかるレンズの費用の差額のみを自費で追加負担いただくこととなります。
(追加負担は多焦点眼内レンズの種類により異なります)
